第1回領域会議を開催しました。[2024年5月13日(月)@福岡]

開催報告

今回の研究会では材料が持つ様々なサイズ効果について、高分子材料と金属材料の専門家を九州大学よりお呼びしてご講演を賜った。小椎尾謙先生は、非晶性高分子のPMMA樹脂が薄膜化することで延性的になるという興味深い現象を紹介いただき、その原因を様々な分析法を用いた測定結果から説明された。また、二軸伸張試験では一見複雑に見える変形挙動も、実は一軸伸張を受けた局所変形の集合であることが示され、高分子材料に特徴的な構造変化について説明された。近藤俊之先生は、単結晶金属材料は薄膜化すると強度が向上する仕組みについて説明されたが、多結晶になると状況は大きく異なり、疲労破壊はき裂先端周辺の局所的な組織に強く影響されるとのことだった。巨視的な変形・破壊と微視的な変形・破壊という異なるスケール感を使い分けながら、複雑な現象を整理されていた。質疑応答およびフリーディスカッションでは、材料表面の効果について材料学的、環境学的、幾何学的なそれぞれの効果に分けて現象を整理することの重要性について議論された。また、力学機能を決定している領域の大きさと、柔と剛の不均質構造のサイズとの対応についても活発な議論が展開された。

フリーディスカッションの様子